2008.02.11

お手上げG7

G7終わったので、ちょいちょいニュースetcを見てましたが、要すれば「お手上げ」ってのが結論でしょうかね。

一応全体声明はこれ

構図としては、
・米国がサブプライムを強調しつつ日欧他に協力と支援を要請
・日欧にしても、財政がそう良くない訳でもないし、言えば他国経済なので、やんわりとお断り
・物別れして「各自がんばるように」という雰囲気で解散
というところですかね。

要すれば、特効薬のようなものは出来ないし、米国にしても、ヘルプを受け取るには限界がある(調達しきれない)というところに行くのかと。先日も30年債が不調だったり。

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2008.01.20

イールドカーブ@北米

見てる人は見てる、知ってる人は知ってる話だと思いますが、カーブを見てると2パーセント前半まで落ちて然るべきところなんですよね。

対して足元のFFレートが現在4.25(ですよね?確か)。

という訳で、今月末のFPMCが0.5下げか0.75下げかというのは中期的にはたいした議論ではないんじゃない?という気もします。もしかしてゼロ金利?と言ってる人もいますが、さすがにそれはないかな~と思いつつもシナリオによっては1パーセントくらいまではありえるんじゃないかと思います。

で。

FFレートが下げた結果為替がどっちに行くかは一筋縄ではいかなくて、大きく見ても
 ・金利差の縮小による素直な下げ
 ・株式市場支援による信用水準上昇によるサポート
という両面があるので、「どっちが強い」という比較論になる訳です。更に大きくはもっと構造的な話がありますが、ややこしいのでパス。コモデティと国際経済の絡みまで考えるとややこしくてもう考え切れませぬ。ただ、投資するなら見ておかないと。

で、日本株をやってるひとも、特に大型銘柄は北米景気に連動したものが多いのと、外国人投資家はポートフォリオバランスで見るので、無関係ではないというのもポイントと言えます。FFレート水準の変動⇒北米景気動向の変化(⇒北米株式市場の水準変更)⇒日本企業の業績変化⇒日本市場の水準変化、という流れです。これまた細かい要素は他にたくさんありますが、全部は指摘出来ないので代表ラインと連動イメージの掴み方の典型例としてご紹介。

余談ですが、日本市場がNY市場に連動してる(ように見える)というのも、
 ・日本経済の主軸が北米市場の景気動向に左右される
 ・NY市場は当然ながら米国経済に左右される
というような仕組みがあったりします(これまた細かくはもうちょっとありますけど、ややこしくなるので割愛)。

2008年はおそらく、とーっても頭と神経を使わないとならない市場になること請け合いなので、無理せずに休む、確実性が非常に高いところしか手を出さないというのもひとつの方法だと思います。

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2006.10.19

マイクロファイナンスの取扱説明書

マイクロファイナンスの仕組みと発想は見ておいた方が良いだろうと思っている分野。グラミン銀行が丁度ノーベル賞を贈られたりでメディア的にも小さく盛り上がっていたりする。

ポイントは引用部分にもあるように、インセンティブ設計ですね。スキームがちゃんと人のドライバーになっているか。なってなかったら本質的な意味でファイナンスが生きないので。

汎用性の高いフレームとして受け止められるか=受け止められるまで理解と応用性を深めておけるかがポイントなんだろうと思います。

それはそれとして、関係者でもなんでもありませんが、ノーベル賞おめでとうございます。

リンク: 山形浩生 の「経済のトリセツ」  Supported by WindowsLiveJournal - マイクロファイナンスあれこれ:来世を借金のかたに取る.

人によっては、こういう取り立ての仕組みを強調するのが揚げ足取りだ、美しくすばらしいマイクロファイナンスの理想を汚そうとするこざかしい試みだと思うかも知れない。特に、このノーベル賞で初めてマイクロファイナンスのことを知ったような勉強不足の人はそう思うようだ。でも実際には、マイクロファイナンスはぼくが五年前に書いた時点ですらもうずいぶんあちこちで実験されていて、失敗例だっていくらでもあるのだ。返済を担保する仕組みが作れないところは、どこでもほぼ例外無しに失敗する。何を利用してこの返済をきちんと担保するか――それはマイクロファイナンスの本質でもある。それをちゃんと作れないと、お友だちレベルでの金の貸し借りを越える、ノーベル平和賞に価するだけの仕組みにはとうていなれないのだ。

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2005.12.27

経産省訪問


一個走らせ始めたプロジェクトの展開シナリオをメンバーと詰めていたら「それなら、経産省に持って行きませんか?」となったので、メディアとコンテンツ方面の課長クラスの方にお時間を頂くことに。

仲介の方がしっかりしていたこともあり、小一時間ほどのディスカッションも非常にスムーズに進んで、大きなシナリオイメージが出てくるところまでノンストップでした。飛び道具くらいの効き方のするメンバーと一緒だったのですが、それでも普通に議論として成立し、最後落としどころの意識合わせまで出来たのは初顔合わせとしては素晴らしいです。

それにしても。

当たり前かもしれないですが、キャリアの方は良く勉強してらっしゃいます。各メーカーの動き、扱っているテーマに当てはまるのはどこになるのか、ポイントを絞ったら候補として最適なのはどこか。マルチレイヤーで多層的に話がジャンプしているにも関わらず迷い無くトレースされた上で政策としての方向性との接点を作り出していく話運び一つ取るだけでも有意義でした。

急には動きにくいことも分かったので、足の長い流れになりそうですが、ここはまぁじっくりと。

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2005.11.03

ゲーム内経済学/仮想通貨エコノミー

セルフブレーンのおひとりである山口さんが掲題のテーマで講演をするとのこと。紹介エントリはこちら。

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2005.01.11

ワイヤレス技術普及の政治経済学

情報スーパーハイウェイ構想は米国の情報化を加速させた。しかし、今になってみると、日本韓国での通信インフラの普及は目覚しいものがある。

Government can choose an advanced technology successfully. But this effectively freezes technology, creating disadvantages when the next generation comes along.
一つの見方は、技術移行に政府のバックアップは向かないのではというもの。旗を振るべきタイミングと市場競争を促すべきときとは分かれるのだろう。

EconLog, Discovery Procedure in Wireless Technology: Library of Economics and Liberty

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2004.12.16

グローバリゼーションと資本投下先の関係

グローバル化と今の資本の動きと、これから伸びるセクター(というか構造変化かな)について触れた一節。アジア圏の台頭と米国でのコンシューマー市場への投資傾向は一連のものだという。

突き詰めて考えるとワークスタイル、組織内のポジション設計と需要にも変化が出てくるのだろう。しばし考えたいテーマである。

BeyondVC: Consumer growth and globalization

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2004.04.01

RFID規格とデファクトの経済学

良く考えてみると当たり前の話でも指摘されてふと気が付くこと、というものがある。IT/IP Law_blogで紹介されていたRFIDの話もそういう雰囲気だった。ICタグも一歩踏み込めば規格+国際問題に直結しうる。昨日まとめたマイクロソフトのOSに同じくICタグの導入とアマチュア無線より。

まずは先に元エントリの引用先の記事を確認

日本では海上コンテナに433MHzのICタグをつけることができない。433MHzはアマチュア無線が使用する周波数帯域であり、ほかの用途に利用できないことになっているからだ。「他国のコンテナがACEを利用してスムーズに受け入れることができるようになるのに、日本企業のコンテナは従来同様の煩雑な手続きを踏まねばならない。不正に開閉したかどうかをICタグで管理することもできないので、コンテナを何度もチェックしなければならない。日本企業は、対米貿易で他国の企業にはないハンデを背負うことになる」
というところに、「やや飛躍がある」と突っ込んでいるところから始まっている。

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2004.03.30

マイクロソフト独禁法違反の意外な展開

Blogのことばかり書いていたので、ちょっと視点を大きくとってマイクロソフトとEUの問題を。

OSとブラウザをバンドルして提供することは独禁法に触れるか否か、すなわち、ある機能レイヤーを制覇した企業が隣接市場に自分のポジションを利用して有利な戦いを展開するにはどのようなルールと適用すべきか。マイクロソフトを中心に長年裁判で争われてきた、今日の競争政策の論点の一つである。

ヨーロッパでの訴訟にて、先日マイクロソフト敗訴の決定が下ったが、米司法に影響を与えるなど幾つか余波が出ている。記事を追っているとあちこちで捻れが発生したややこしい構図になっている。

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2004.03.24

資本主義、貿易、海外アウトソーシング

渡辺千賀さんの海外アウトソース、offshoringについてのエントリ。クルーグマンならこう書くだろうと思わせる書きっぷりで(かつ、最後はミクロ視点で書かれているのでクルーグマンより共感できる)、抜群に面白いのでPC Forumはお休みしてこちらを。クリッピングページでは

オフショアアウトソーシングをスタートにした資本主義論。貿易財の比較優位までさらっと触れている辺りが気持ちいい。論のポジションの取り方、全体バランス、射程の長さと結論までこの手の議論では今まででBestの論考。全文引用して紹介したいくらい。
とコメントしましたが、この分野に興味のある方は是非全文でお勧めです。

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2004.01.21

「ジレンマ」への道

イノベーションへの解」シリーズ。

前のエントリにて、

破壊的イノベーションにより主要プレイヤーが変わってしまった例は日本の方が少ないように思える。これは、資本市場からの圧力が少なく、投資効率と資産効率を高めることを至上命題とした経営がさして必要とされなかったため、「ジレンマ」が業界大手で発生しにくいということが一つ理由になるのではなかろうか。
と書いたが、明白な形で過去のものになりつつあるのではないかと思わせるニュースが飛び込んできました。

ソトーという東証2部上場の会社が海外から仕掛けられたTOB(敵対的買収)に対して、国内のベンチャーキャピタルと手を組んで非公開化を行うという。80年代アメリカのディールメーカー達のエピソードを思わせるかのようなニュース。日本でも経営陣によるMBOの話はちょくちょく耳にするようになり、新生銀行、シーガイア、日本テレコムなど大型の買収案件の話も結構普通のニュースとして紹介されるようになってきています。

銀行経由でない、ダイナミックな資本の論理が日本でも物を言い始めています。

本案件についてはこのように説明されています。

おそらく、ソトーはある程度の事業リストラ(不採算事業や戦略的に重要ではない事業からの撤退)と財務リストラ(不必要な内部留保の配当)を実施することになるでしょう。その上で、再上場か第3者への売却を目指すことになると思います(そうでないと投資家はキャピタルゲインを獲得できません)。
と、Investerサイドからするとごくごく当たり前のこと、というか公開企業であれば、本来はやっておくべきものへの対応が強く要求されることに。銀行以外の外部の投資家に、適切な経営を行っており、資本を効率的に事業投下していることを随時示していくことが企業の経営陣に要求されてくることとなります。

つまり、成長要求と資本効率のプレッシャーが強くかかるとなれば、そこは「イノベーションのジレンマ」ということに。

追記:
ソトーの件の続報が出たそうです。すっかり空中戦ですな。

更に追記:
ファイナンスBlogではないので、新しいエントリは控えます。引き続き経営・会計通信の該当エントリより。

やはり引き上げですね。NIFベンチャーズのプレスリリースによると、正確には1470円に220円引き上げています。これだとPBRは約0.9倍です。場中にquickが流れたにもかかわらず、今日の終値は1435円ですから、ここらで決着するかもしれません。これ以上の額を提示すると、益が稼げる可能性が下がりますから、純粋な投資ファンドであるスティールには辛い線かもしれません。
もう完全にあっちの世界へ。訴訟もそうですが、日本ではそう見られない話なので、新鮮です。

※krpさんコメントありがとうございました。

更に更に追記:
Niftyで始まった木村剛氏のBlogでの詳細な解説エントリ
このあたりのコメントは

上場という行為は「買収してもいいよ」という対外的な宣言を意味するのであり、「上場益は自分の懐にほしいけれど、経営権は渡さないよ」という経営者のエゴが許されない厳しい世界なのだ。
「自分以外は誰も守ってくれない」というのが、市場原理の大原則である。そうなれば、個々の企業は、自ら敵対的買収への防衛策を構築しなければならない。経営陣が買収からわが身を護る方法はひとつしかない。それは、買収側が断念せざるを得ないような高い株価を維持するということだ。そうなっていけば、わが国の株式市場においても市場原理が貫徹するようになっていく――経営者は心したほうが良い。
投資家としての感覚からすると当たり前の話ではある。80年代米国のようなM&A合戦が正しい姿か、短期に寄りがちな株価ばかり見た経営が本当にいいことなのかは別途議論の余地があるが、とりあえず企業行動は米国型に近づいていくことが世の中全体に受け入れられつつあることとなる。この変化で一番あおりを受けるのは、投資家便益を上手く受けることの出来ない従業員になるのかもしれない。

あと、非公開化を選択するなど資本戦略への影響はあるのだろうか。公開しない選択のエピソードとしてはグロービスのものを印象的に覚えているが、同じような議論が各企業で増えてくるのかもしれない。

※真面目な本筋とは全然関係ないが、小鳥とのやりとりの件はすさまじく笑えた。

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2004.01.20

ウォール街のゲームを越えて

Escape from Wall Street's Game. フロムではないが、「イノベーションへの解」を続いて解析中。

昨日と同じく、やや資本市場寄りのところから。
「ジレンマ」の発生するそもそものトリガーは資本市場からの成長要求に端を発している(第一章)。この圧力を前提としてこの論は編まれている。米国企業社会は資本のルールが強く働いている。経営者は投資家の期待に応えるべく企業を運営し、投資家にとって高いリターンを実現することにより自らの報酬と地位が保証される。この外部からの強い圧力があるが故に、アセットを切り売りするデススパイラルが発生することとなる(第六章)。

投資家でもあるので、ハイテクを中心に資本市場と企業動向はまめに追っているが、例えば毎四半期のEPS予想がアナリスト予想を越えたか越えなかったかで企業の株価は大きく動いている。かつ、基本的には一度たりともハードルをクリアしないことは許されない、強力な縛りになっていることは実感として良く分かる。ジレンマは起こるべくして起こる土壌は整いすぎている。(というか、投資家としては圧力として働いてもらわないと困る)

しかし、ビジネスの場面では前提条件があったらその前提を外せないかと考えることも一つの方向性ではある。現場では無理な要求な要求をそのまま素直に受け入れるよりも、目標値そのもののコントロールを行った方が関係者全員の納得も満足も高まることは珍しくない。この場合は、市場からの成長命題に応じないで済む方法はあるかということとなる。

細かいものを除くと方法としてはごくスタンダードに二つと考えていいのではなかろうか。
1:公開しない
マスターフーズが公開していないことなどは良く知られているが、穀物メジャーなど他の大手でも非公開の企業は珍しくない。外部資本がしょっちゅうは必要の無い会社は公開している必然は特に無い。当たり前の話ではあるが、公開していない企業は資本市場からの圧力はかからない。だからこそ、プライベートエクイティが企業を非公開する手法が企業リストラクチャリングの方法として機能する。
2:短期で物事を考えない
これは、全く自由になるわけではなく成長は同じく求められる訳だが、短期の目標達成に意識を向けすぎて組織運営を歪めてしまう弊害(題八章)は多少避けられる。ただ、これは、株主の信頼が無いと下手にアナウンスするだけでトップは地位を危うくしてしまう可能性があるので、万人向けではない。例えば、昨年、コカコーラが短期の目標にはコミットしないことを宣言しているが、その理由があってかなくてか、株価は伸び悩んでいる。株主が変わらず性急な成長を求める傾向が強い場合、いずれ不満が溜まり、経営陣に対して圧力がかかっていしまうだろう。もう一段「解く」には例えばバークシャーのように企業に不適切なプレッシャーをかける株主が集まらないようにIRを行うということが必要となる(が、途中から入っていつまでいるか分からないCEOはこんな呑気なことはやってられない)。

本書ではジレンマを企業運営技術を高めることで解こうとする。もちろん、このアプローチは非常に正しいのだが、現実には上記のように、ジレンマの発生しにくい構図も無くは無い。鸚鵡返しのような当たり前の解法であり、「それが出来ないから苦労しているんだ」という突っ込みは幾らでも成立するものの。

~~
厳密にデータを取って調査したわけではないが、ハイテク、電機を中心に日米比較を行うと、破壊的イノベーションにより主要プレイヤーが変わってしまった例は日本の方が少ないように思える。これは、資本市場からの圧力が少なく、投資効率と資産効率を高めることを至上命題とした経営がさして必要とされなかったため、「ジレンマ」が業界大手で発生しにくいということが一つ理由になるのではなかろうか。前著が米国ほど日本で売れなかった理由も同じかもしれない。「片付けたい用事」のないところにはプロダクトもソリューションも存在し得ない。

追記:
余談だが、最近の実証研究によると、ちゃんと動いている資本市場は基本的に長期の割引きキャッシュフローをベースとして各商品のプライシングを行っているという。「解」に示されている解き方とは少し異なるアプローチ方法が成立する余地があるかもしれない。

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2003.12.04

海を越えてITのもたらすもの

ITの進化は新しい経済モデルを推し進めていている。一つは、海を越えてサービス提供を受ける海外アウトソーシング(Offshore Outsourcing)、もう一つが生産性の向上による雇用を生まない景気回復期間の発生だ(Jobless Recovery)。後者の生産性議論はニューエコノミー論の頃から扱われてきたため、トピックそのものは馴染みのものだが、バブル崩壊後の強烈な企業リストラクチャリングを経て、景気が回復し、企業収益が伸びつつあるのに雇用が回復しない構図がマクロ指標でも明らかになり、エコノミストが再度注目している。

ITは本当に幸せをもたらしているのか、ITは本当に世の中の役に立っているのか(HBRの「IT Does not Matter」)が再検証されている。

こういうトピックにはEsther Dysonが良い。アナリストというよりジャーナリストのような書き方をする人なので、個別具体的な話よりも大きな流れを感じ取るのに良い。「The New World Order」という短い論考より。

In the United States we seem to believe that things are always getting better, and that technology is constantly improving our lives. But are things always getting better? And for everyone?

基本的にエスターは技術肯定派になる。技術は世の中をより良く変えていく可能性をもっていると信じて活動している人だ。ただし、無邪気な技術礼賛論に走ることはなく、負の面について絶えず目を向けている。「But are things always getting better? And for everyone?」本当に、これまでより良くなっているのか、みんなそう感じ取っているのか。

エスターの立ち位置は端的にこうなる。

The onward march of technology bestows advantages unevenly in the real world of politics and economics, benefiting first one group, then changing the rules in favor of another.
止まることのない技術の進化は経済社会にインパクトを与えているが、それはグループごとに異なる。恩恵を受けるグループがあり、その他のグループにはルールの変更機会をもたらしている。

ここで言う「グループ」とは何なのか。

一つはインドとロシア。本稿の文脈では恩恵を受けるほうとなる。

When I got to Russia, I heard that the outsourcing business there is hot. "We have more business than we can handle," says Anatoly Karachinsky of Luxoft/IBS Group. (I'm on his board.) Likewise, the software outsourcing companies in India are recovering quickly from a slump last year, with revenues from software and services exports to the United States projected at $8.5 billion for 2003-2004.
ロシアではアウトソーシングビジネスが伸びている。インドと同様に、両者のサービスの輸出先は米国市場になっている。

Meanwhile, in the United States, business is coming back and venture capitalists are investing again. But you can't see it in the employment statistics. While the U.S. government officially predicts a resurgence in employment, most private economists are not as optimistic.

そうなると、米国労働市場には設備投資が伸び、キャピタリストの投資も再開しているにも関わらず、雇用統計は反応しないという「Jobless Recovery」の構図が発生する。企業は元気でも個人は元気になれない。こちらが、変化を迫られているグループとなる。

理由は初めに挙げたとおり。

The rise of global communications and the increase in worldwide competition are not temporary phenomena, and it's inevitable that prices will approach parity for things that travel easily, including computer-based labor.
労働力がコンピューターと海外に代替されているのからだ。「American job-seekers are taking a step back.」アメリカの労働者は辛い目にあっている。

この動きは米国内、特にハイテク産業を中心に深刻な問題として受け止められ、政治問題化しつつあるが、完全に保守化すればよいかと問われるとそうとも言い切れない。

Without such actions the company would go out of business and all four would be unemployed.
企業がなくなればそもそもの雇用の供給が無くなり、もっと悪くなる可能性があるからだ。

海外のサービスを購入して直接利用するとなると、それは一種の貿易、輸入を行っていることに等しい。為替レートの影響を寄り強く受けるようになる。また、移民増による対応だとその後の経済への波及効果が望めるが、海外にアウトソースしてしまうとそれもなくなる。ミクロの問題に端を発してはいるが、個人消費の抑制に繋がるとマクロ経済への影響も出てくる。

エスターはこう締めくくる。

The question isn't whether this is a good or bad thing: That depends on whose point of view you take. U.S. workers who are losing their jobs played by the rules they were given: Get a good education, work hard, and you'll have a good job. Now that implicit promise has been broken. Meanwhile, the newly employed beneficiaries of globalization in the developing world have discovered a market offering unanticipated opportunities and rewards for hard work.
米国労働者は頑張れば報われる的構図が崩れて大変だが(日本企業の話を読むようだ)、途上国ではこれまで予期しなかった雇用機会が生まれており、立場により結論がことなることから単純に良いとか悪いとかの問題とは言い切れない。このあたりのバランス感覚は東欧やロシアとの繋がりの深いエスターからすると自然なものだろう。


ここまでを踏まえて、これからどうなるのか、どうしていかなければならないのか。あまり具体的ではないが確認してみる

The question for U.S. businesses and individuals is how to deal with these changed circumstances. We can't go back, so we must go forward. First, companies have to level with their employees and shareholders and make tough decisions, or else they will disappear
まず、変化は止められず、適応するしかない。しかし、株主にとっても労働者にとっても辛い決断となる。

雇用が海外に流れていくに際し、企業はグローバル化するという手段が残されているが、労働者は海外に感嘆には居住地を移転出来ない以上、直接競争するか、別の切り口で仕事を見つけるしかない。直接競争するのはかなりナンセンスだ。米ドルベースで途上国相手にコスト競争を始めるとこのような展開になってしまう。通貨価値に大きな開きがある以上、一部のハイエンド人材以外では有効性はない。となると、個々人の競争力として何が残るのかを突き詰めなければならない。それは何か。一朝一夕の問題ではないので、本稿でもヒントが示されている程度でしかないが、

So what's next for us? In fact, the two things machines can't automate are creativity and attention.
創造性と「attention」。後者が今ひとつはっきりしないが、後段でこのように描写されている。
If I were to imagine a golden age, it would be one in which programmers and designers (for a start) were paid roughly equal wages
teachers, mentors and managers, who would motivate and organize the designers and inventors as well as the producers of goods.
 機能や技術といった純工業的なものからデザインへ、教師のような他者に働きかけるサービス分野へ。

デザイン分野はコスト競争の波に揉まれてしまった場合、十分な付加価値が残るだろうか。サービス分野は今後大きな市場を更に生み出せるのだろうか(米国経済は十分にサービス化しているというのが通説と感じている)。やや疑問が残るが、ひとまずヒントまでとしたい。

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