使い捨て経済
新しく発売したプロダクト、サービスがどのように市場に浸透していくのか?
これはマーケッターとマネージャーにとって死命の決まる問いだろう。前者は腕が問われ、後者はリソース配分で悩む。どちらもお金を積んで分かるのなら、多少の出費は厭わないだろう。
VentureBlogがこの市場浸透の話を取り上げていた。イノベーター、フォロワー、マジョリティー(この分類は人によって違う。個人的にはGeoffrey Mooreのが好みである)と山なりのベルカーブ曲線で普及していくというのが教科書的モデルだが、現実にはそうじゃない例が一杯あるよね、というまとめだ。
◆素早い浸透と更なる加速
The product uptake curve is accelerating
カメラ付き携帯が事例として挙げられている。携帯電話は短期スパンで新商品を投入し続け、機種交換サイクルを早めることで急速に成長回転している市場だ。エッジのユーザーは最新機種を使うが、古くなった機種は端末無料ということも珍しくないために、それほどに携帯の需要がないユーザーでも「本体タダなら使ってみようか」ということで食指を伸ばす。ここから、イノベーター、アーリーアダプターへのハイエンド機種の浸透とレイト・マジョリティーへのローエンド機種の浸透がどちらも急速に進み、Sカーブはストンと立ち上がる形になる。
◆何かの付随オプションは、「何か」を越えられない
The laggard market is disappearing
PC→インターネット→オンラインショッピングと親亀の上の小亀の上の孫亀の構図が紹介されているが、何のことはない、冷静に考えると当たり前の話。なのだが、これだけで済ませてしまうと足りない。何らかのプラットフォームに依存するプロダクトは依存先の市場規模、普及量に依存する、という話は後づけで考えると難しくはないのだが、プラットフォームが普及しかかった頃からの参入も珍しくない。ハイテク業界では日常的な光景となる。となると、「このプラットフォームはどれだけ普及して、その上で自社サービスのシェアはどの程度になるのか」という複層の市場を読まなくてはならなくなる。しかも、プラットフォームと上位のサービスはお互いに正のフィードバックを得るので、ネットワーク効果のように動的に変化する系全体の価値を推し量ってのプランニングが要求される面倒な作業となる。
◆新製品に中庸はない
New products will either open big or get killed early
ビッグヒットか凡作か、という映画産業を比喩的に取り上げている。実際のところ、映画産業でも小スマッシュヒットを安定的に飛ばすギャガのようなプレイヤーもいるのだが、それはさておくとして。consumer electronicsといっても日本市場を見ている限りそんな極端な動きはしているプロダクトはそうない。傾向値としてどうなっているかは調べてみたいものである。
◆技術はポイントではなくなる
It's not about technology any more
元々のエントリへの自己参照コメントなので、参照先に帰って読んでみる。製品の初期段階では機能の有無やスペックが直接に競争ポイントでありR&Dが成功要因となる。しかし、ある程度熟成が進み、例えば携帯電話だとバッテリーの持ち時間が購買要因でなくなるくらいになると、「moves into the realm of fashion」。流行り廃りなどマーケッターの得意な分野が購買要因となり要素技術からパッケージング能力へ、更にはデザインへと競争のポイントがシフトしてゆく。
◆もはや、マスマーケットは存在しない
Early adopters will become a big enough group to serve on their own
今回の指摘で一番面白い。アーリーアダプターの層が厚みを増し、本来マスであった層に適合するプロダクトが複雑すぎるとなると、アーリーアダプターまでが製品のターゲット市場となってしまう。突き詰めると、マスマーケットというものは存在しなくなる。Geoffrey Mooreのモデルとは多少形がことなるが、キャズム的展開である。
プロダクトの市場浸透の読み物としては、VentureBlog でも紹介されているが「ティッピングポイント」が面白かった。「キャズム」も好きだが、応用して考えたくなるとなると断然だ。靴にしても、伝染病にしてもある条件が整うと一気に普及し、且つ普及の鍵を握っているのは人のネットワークの結節点になっている人、などという風に繰り出される主張はケースと合わせて頭に入れておくとなかなか便利に使える。噂の伝播など社会学的な調査はファッション系なんかでの適合度が高そうであり引用したエントリで示されているような消費行動が広がるとなると、より適用範囲が広がるのでは。
















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